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はむら保育展&ホップの会公演のお知らせ

2022年11月16日 水曜日投稿

はむら保育展

11月23日(水)~26日(土)の期間、羽村市プリモホールゆとろぎ 1階展示室にて、「はむら保育展」を実施します。
今年度も羽村市内13園の様子を紹介した展示のみの実施となりますが、お時間のある方はぜひご来場ください!!

ホップの会公演

ホップの会による保育展特別公演を11/26(土)の11:00と14:00の2回、ゆとろぎの交流広場にて行います。
子どもたちが楽しめる楽しい公演ですので、ぜひ遊びに来てくださいね!!

★ホップの会・・・羽村市保育園の男性職員を中心とした会です

☆交流広場

【にじいろWS 2022-10月】版画を体験しよう

2022年11月1日 火曜日投稿

「版画」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?

みなさんは「版画」と聞くと、どんなことを思い浮かべるでしょうか。
ご自身の体験から、小さい頃に野菜などの切り口に絵の具などを塗って、スタンプのように紙に押し付けたこと、または学校の授業などで一枚の板を彫刻刀などで削って凹凸(おうとつ)をつくり紙に転写したことなどを挙げる方は多いかもしれませんね。
なかには、はがきサイズのゴム製板を削って年賀状の絵柄を作成した、といったかなり具体的な例を示す方もいるでしょう。
さらには、有名な作品や作家名と共に、いわゆるアートとしての「版画」を思い浮かべるという方も。

そう、「版画」と聞いて、たいていの場合は誰もがなにかしらを思い浮かべることができるのです。
つまり必ずしも特別なものではなく、誰もが一度は日常的に体験している、もしくは耳目していることだといえます。
ただ、それをいつ、どのように体験しているかということで、ひとそれぞれに思い浮かべることがらが違ってくるのでしょう。

さて、今回のワークショップは、その「版画」を体験してもらいました。
年中クラスはもとより、実は年長クラスの子どもたちも「版画」を行うのは今回が初めてです。
それも、ちょっとユニークな版*づくりからはじめて、子どもたち自らインクを付着して紙に写しとるまで、版画制作における一連の基本的な工程を体験しました。
(*版:インキを紙面に転写する仲立ちとなるもの)

葉脈もくっきり、500円玉も?初めてづくしで驚くことばかり

年中クラスも年長クラスの子どもたちも、今回が初めてづくしの「版画」です。
いずれの子どもたちもワークショップのはじまりは同じです。

こどもたちには、まず道具のことを知ってもらおうと、先生はインクを付着させるためのローラーを取り出しました。
先生はローラーを両手に握り、いつものように子どもたちにおどけて見せます。
顔をこするの?からだに転がすの?
いやいや机を拭くのでしょ?
子どもたちもそれを手に取って、自分の顔やからだをコロコロ転がして大笑い。
それから版画を摺るときのバレンも見せました。
「なんだ、これ?」と、子どもたちの反応はいまひとつピンときません。
それはそうですよね、初めて見るのだから。

そんなふうに全員がそれらの道具に触れると、今度は版画を刷るために用意したテーブルに子どもたちを集めました。
ここからがワークショップの実践です。

先生は木の葉っぱを1枚、子どもたちに見せました。
園庭に落ちたばかりのまだみずみずしい葉っぱです。
それを先生は両手のひらに挟んでこう言いました。
「どこにでもある葉っぱだけど、こうして手のひらで触ってみると、葉っぱにある筋(葉脈)がわかるよ」
そして、子どもたち一人ひとりに触ってもらいました。
「ほんとだ!でこぼこしてる」「線が浮き出てる」と子どもたちは新鮮な感動を覚えていました。
葉脈を手のひらで感じることなんて、そうそうないですからね。

次に先生はテーブル上に用意した大きなトレイのなかにインクを注ぎ、先に子どもたちに見せたローラーでそれを上下に転がして溶きはじめました。
子どもたちは初めて見るその光景にじっと見入っています。
インクがローラーに馴染んだのを確認すると、台紙の上に葉っぱ(葉脈のある面を上に)を置き、ローラーでその葉っぱにインクを付着しはじめました。
子どもたちは何がはじまるのか、まばたきもせずに見つめています。

葉っぱにインクが付着したら、その上に白画用紙を被せて片方の手でしっかり押さえ、もう片方の手でバレンを持って、その白画用紙の上からバレンの平の面で円を描くようにこすっていきました。
それから、ゆっくり白画用紙をはがしていくと、その白画用紙に葉っぱがきれいに転写されていました。
葉脈も、目で見るよりも鮮やかに写っています。
子どもたちはいっせいに歓声を上げました。
こうして版画の基本的なこと~作業の流れを子どもたちに伝えました。
難しい学習は不要です。まずは身近に視て、それをきちんと体験することが一番の学習です。

と、ここまでは年中クラスと年長クラスはまったく同じでしたが、年長クラスにはもう少しだけ「版画」の話を付け加えました。
それは、日常見慣れたあるモノを取り出してからのこと。
先生は、自分のお財布から千円札を1枚抜くと、年長クラスの子どもたちに見せながら
「これも、いまやったようにインクで刷ってつくってるんだよ」と。
子どもたちは、おどろいたようすです。
「もちろん機械を使っていっぱい刷っているけど、もとをたどればいまやったことと同じです」
先生がそう説明すると、子どものひとりが「10円や100円玉も?」と唐突に聞きました。
予期せぬ質問に、今度は先生がおどろきました。
先生は一瞬考えましたが、またお財布から500円玉を取り出して
「じゃ、できるかどうかやってみようか」といいながら500円玉の表面にローラーでインクを付着しました。
考えてみれば硬貨も表面に凹凸があるので、やり方は葉っぱのときと同じです。
バレンでこすり白画用紙をはがすと、葉っぱほどきれいではないけれど、そこには確かに500円玉が写っていました。
「でもね、残念ながら10円玉や500円玉はお札とはちがう作り方をしています。だけど、こうして表面にでこぼこがあれば葉っぱのように刷れるってことだね」
ほんとうに予期せぬ質問でしたが、こういうやりとりはとても大事なことです。
おとなもそれについてごまかしたり、面倒がらずにしっかり答えてあげるということが肝心です。
子どもって、疑問符の数だけモノを覚えるのですから。

予想もしない仕上がりに、子どもたちも見惚れます

子どもたちが版画の基本的な工程を知ったところで、いよいよ本番です。
先生はあらかじめ用意しておいたA5サイズの透明なシート(プラスチック素材:ポリプロピレン)をテーブルに置きました。
それから、これも準備しておいた○型や□型をした指先ほどの小さなシールを出して、そのA5版サイズの透明なシートにペタペタと貼りつけていきました。
横や縦一列にいくつも並べると○や□がつながって線になります。
それを応用していけば、さまざまな模様が浮き出てきます。
太陽や星や雲だってつくれます。
木や花もできました。
あらら、誰かさんの顔もできますね。
先生はこんなふうにいくつかの例を示しながら、その透明なシートに○や□のシールを使っていくつかの線と花の模様を描きました。
そのシートを台紙の上に置き、インクの付いたローラーでシート全体にインクを付着させていきました。
手順は先ほどの葉っぱと同じです。
白画用紙をそのシールを貼った透明なシートに被せ、またバレンで円を描くようにこすっていきました。
今度は、葉っぱのときよりも念入りにこすりました。
それからまた同じようにゆっくり白画用紙をはがしていくと、そこには不思議な模様が表れました。

確かにシールを貼った透明なシートと同じ模様ですが、左右の位置が逆に写っています。
またシートに貼った実際のシールよりも、画面上のシールのカタチの方がくっきりと見えました。
それから全体にインクの色に染まっていることで、独特な雰囲気を醸し出していました。
予想もしていない仕上がりに、子どもたちはすっかり魅了されたようです。

子どもたちは各テーブルに戻り、まずは透明なシートになにを、どんなふうに描いていくかを考えます。
使う素材は、先生が見本で見せた○型や□型をした指先ほどの小さなシールのみ。
ただし、そのシールを自分の思うような形にハサミで切るのもちぎるも自由です。
○を半分に切れば半円になり、□を斜めに切れば三角になります。
また何枚も重ねて貼ってもいいですし、出来栄えに納得がいかなければ、何度でも貼り直しもできます。
たったこれだけの材料ですが、子どもたちの発想は豊かで自由で、限りなく広がっていきます。
黙々と子どもたちは版づくりにかかります。
時折、先生や保育士に相談をしたり、ちょっと手伝ってもらう子どももいましたが、最終的には自らの力で版づくりを行いました。
どの子どもの作品も、A5サイズという小さなシートのなかに、見たことのない大きて素晴らしい世界をつくりあげていました。

完成した(と自分で思った)子どもから順々に転写をします。
子どもたちは飲み込みが早いので、先生がやったやり方を器用に真似て刷りはじめました。
補助はしますが、やはり子どもたち自身でローラーを転がし、インクを付着させ、バレンでこすります。
白画用紙をゆっくりはがすと、そこにはまったく予想外の作品世界が表れます。
子どもたち誰もが白画用紙をはがすたびに、自分の作品に見惚れているようすがわかります。

仕上がった作品は順番に並べてインクの乾くのを待ちます。
そしてシールを貼った透明なシートは、表面のインクを水洗いして、これもいっしょに乾かします。
実は、今回の仕上がった作品は二通りの楽しみを味わうことができます。
ひとつは刷り上がった作品、もうひとつはその版自体です。
版を水洗いするのは、作品として保存するためです。
刷り上がった作品と版は、似て非なるものです。趣きの違う作品としていずれも鑑賞できますので、飾っていただくのも、ワークショップの想い出とするにしても、ふたつ合わせて保存されることをお勧めします。

日常生活にあふれる「版画」ですが、そこには長い歴史が・・・

年長クラスの子どもたちに先生が紙幣を見せたように、日常には版を使ってたくさんのものが刷られています。
ご存知の方は多いと思いますが、15世紀中頃にドイツのグーテンベルグという人物が、ひとつの版を使って何度も同じものを複製することを発展させて(活版)印刷という技術を誕生させました。
これにより、一気に印刷物が世界中にひろまっていくのです。
しかし、版というものだけを見れば、その歴史はもっと古く、原始時代から古代オリエントまで遡ることができます。
当然、版を使って生み出される「版画」というアートも、こうした流れのなかで誕生してきたのです。

そういえば、1990年代から2000年代はじめにかけてテレビや雑誌によく登場したナンシー関(本名:関直美)さんというコラムニストの代名詞が「消しゴム版画」家でした。
普通に市販されている消しゴムをカッターナイフで削って、それを版として使い、ご自分のコラムやほかの雑誌などにイラスト表現として掲載していました。特に似顔絵が得意だったようで、そのものが人気を博し、学生たちの間でその「消しゴム版画」が一時期流行ったことがありました。
手軽に誰もが楽しめるという点が魅力だったのでしょう。
残念ながら、ナンシー関さんは39歳という若さで亡くなってしまい、それ以降はその「消しゴム版画」も見なくなりました。

横道にそれましたが、今回の版画は「凸版(とっぱん)」という版でしたが、ほかにも一般的には「凹版(おうはん)」、「平版(へいはん)」など版の形式は多種多様にあります。
「にじいろワークショップ」の松澤先生は、ご自身が美術を学ばれていたころ、版画の授業も受けていたそうで、かなり専門的な知識と技術をお持ちです。なので、余計に力が入った、とご本人の弁ですが・・・(笑)。
また、今回シールを用いて版づくりを行いましたが、この手法の発案にも先生が関わっていたといいます。
試行錯誤を繰り返し、子どもたちが安全にできて、あそび感覚で楽しめ、かつ発想力が養えるという、これって、なんだか新しい版画づくりとして注目されそうですね。

では最後に「にじいろワークショップ」を企画・指導する松澤先生からのコメントを紹介して、今回のワークショップを終わりにします。
「版画って、どのようにつくれば最終的に作品になるのか。
版づくりからはじめて、それをインクで紙に転写していくという、そんな基礎的な工程を自分自身で体験すること。それが今回のワークショップの一番のポイントです。

そしてもうひとつ、版づくりの材料としてどこにでもある○型や□型のシールを利用したのですが、あえてカタチを単純にすることで子どもたちの発想力を引き出すこと、養うことにも重きを置きました。
版に描く絵柄を、ふつうに絵で描いてしまうほうが早いし、楽です。
でも、これだけ単純なカタチでは、工夫しなければ思い通りの絵柄にはできないですから。
ただし、この○型や□型はハサミで切っても、重ねて貼っても、そのシールを使うことであればなんでも良しとし、創作する子どもたちの意思と発想にゆだねました。
その結果は、こうして作品を観ればおわかりのように、どれもがみな豊かな発想力に彩られ、ひとつとして同じものがなく、個性的でオリジナルな作品に仕上がりました。
もちろん、版づくりから刷りに至るまで、版画に関する基礎的な知識として凸版の仕組みやインクとローラー、バレンの使い方などは指導しました。
そこはきちんと教えるべきだと思っているので・・・でも、それをすべて覚えていなくても、視覚や手触りといった皮膚感覚、そういうものが記憶に残れば今はそれで十分です」

ドキュメンテーション

「版画を体験しよう」
版画技術の歴史は古く、日本では平安時代のものが残っています。1200年以上前から印刷技術は多くの人を繋ぎ、伝える媒体として存在してきました。宗教絵画として広く利用されたことから芸術にも昇華されています。今回はシールを使い、ほんの少しの凹凸で表現できる版画を体験し、作品を作ってみようと思います。

written by OSAMU TAKAYANAGI

【周知】新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金

2022年10月20日 木曜日投稿

厚生労働省より「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金」の保育所等の保護者に向けた再度の周知について、協力依頼がありましたので下記の通りお知らせさせていただきます。


【にじいろWS 2022-9月】紙の立体タウン

2022年9月27日 火曜日投稿

平面から立体へ!発想力、想像力があれば紙一枚でも立ち上がる

個人的な話ですが、ある子ども向けの学習雑誌にこんな出題があったのを想い出しました。
「同じ高さのふたつのコップを5cmほど離して置いて、そのふたつのコップにかぶせるように折り紙を1枚乗せます。そこでコップとコップの中間あたり(下は空間)に10円玉を3枚乗せたいのですが、そのままでは落ちてしまいます。どうすれば折り紙の上に乗せることができるでしょうか?」というものでした。
そこに掲載されていたイラストには、重さに耐えられなくなった折り紙が10円玉と一緒に落ちていく場面が描かれていました。
それは仕方がないな、とイラストに納得しながらもその答えがわからず、恥ずかしくも回答ページをみたらこう記されていました。
「折り紙を1cm間隔ほどに山折り、谷折りを繰り返して山形の立体をつくることで折り紙に強度が生まれ、10円玉を乗せることができます」と。
そこにはまたイラストがあり、コップとコップにはまるで硬い橋でもかけられているような、蛇腹に折られた折り紙があって、その中間に10円玉が3枚しっかり乗っていました。
まさに目からウロコでした。

さて、こんな個人的なつまらない話からはじめましたが、今回のワークショップはこれにちょっと似ているかもしれません。
ごくふつうの色画用紙を使いますが、それを平面ではなく〈立体〉として作品にします。
さらにそれを展開させて、どこかにありそうでどこにもない架空の町「紙の立体タウン」に仕上げていきます。
少しわかりづらいかもしれませんが、一枚の平面の紙がどのようにして〈立体〉化していくのか、その過程から完成、そして応用までをあそびながら子どもたちに体感してもらうというのが、今回のワークショップです。
また年長クラスの子どもたちには、段ボール箱というありふれた四角形の立体物を加えて、いかにテーマに基づいたかたちにつくり変えて別のものに見せるかという、そんな試みも採り入れてみました。

子どもたちの夢がつまった、たったひとつだけの「マイ・タウン」

まずは準備から…
床に子どもたちのグループ分だけ大きなクラフト紙を敷きます。
今回のワークショップの舞台はこのクラフト紙の上になるので、ロール状のクラフト紙から少し長めにしっかりと敷き詰めました。
次に先生は色画用紙に正円を描き、それを切り抜いて外周の一点から中心点までハサミをまっすぐに入れると、ふたつに切れた端を1~2cmほど重ねて貼り合わせます。すると、平面だった1枚の正円が、ほんの少し頂点の盛り上がった円すいになりました。
それをいくつも用意し、それ以外にも各テーブルの上に小さく切った色画用紙、セロテープとでんぷんのりなどを用意しました。クレヨンやハサミは各自が用意します。
…これで準備は完了。

廊下に整列していた年中クラスの子どもたちは、待ちきれないようすでざわざわしはじめました。
ワークショップの準備が整ったところで、今回もにぎやかに入室。
そして、いつものように大きな声で先生へのごあいさつです。
それがすむと、先生は床に敷いたクラフト紙のひとつに子どもたちを集めました。

「今日は、みんなにこのクラフト紙の上に町をつくってもらいます」
子どもたちは一斉に「え~まち⁉」とやや微妙なリアクションです。
先生は、色画用紙でつくった円すいをクラフト紙の上に置きました。
子どもたちはそれぞれに「なんだ、それ?」「ぼうし?」「おさら?」と言い合います。
「あ、小さな山だ!」と気づいた子も。
「そう、ここの町には山があります」と先生は言いながら、いくつかの円すいを並べて置きました。
なんだかそれだけで町の風景に見えてきます。
「どこに山があるのかな、どんな山かな、グループごとに好きなところへ置いてね」と先生は言うと、今度は小さく切った一枚の白い画用紙を取り出し、そこにクレヨンでひとを描き出しました。
それも顔だけが大きくデフォルメされていて、ちょっとマンガっぽいひとの絵です。
そのひとの足部分にハサミで切り込みを入れてその紙を数回振ると、両足がバタバタと動きだすよう見えます。
子どもたちは一斉に笑い出しました。
先生はさらにそれを、先ほどの円すいの山の頂上にセロテープで貼り付けました。
すると、まるで山の頂上にひとが立っているようです。

またもう一枚長方形に切られた色画用紙を出して、それをふたつに折りました。
正面から見れば長方形が半分になっただけの平面ですが、横に向けて見たら、三角山の形に見えました。
先生は何気なくそれを床に置くと、1枚の平面だった紙がしっかり立っています。
子どもたちは、びっくりして眺めていました。
今度はそのふたつに折られたそれぞれの平面に窓がいくつもあるビルの絵を描きました。
それからそのビルの足元にのりしろをつくって、のりを塗ってクラフト紙に貼り付けました。
なんと、それだけで1棟のビルが完成しました。

こんなふうにいくつかのお手本をつくり、それぞれクラフト紙の上に立たせて見せました。
1枚の平面の紙が、次々と立体に変わっていき、クラフト紙の上に立ち並びはじめました。
「でも、これだけじゃまだ町にはならないよね。町には道もあるし、線路もあるし、川だって流れてる」
先生はそういうと、それぞれの立体物のあいだに道を描いてみせました。

もうこれだけ説明すれば、いまの年中クラスの子どもたちには十分です。
数人のグループに分けれ、どんどん町づくりをはじめました。
それぞれが独自の発想で、予想もしなかったような立体物をつくり上げていきました。
なにもなかったクラフト紙の上が、みるみるにぎやかな町並みに変わっていきます。
山の頂上にはたくさんのひとが見えます。どの顔もみんな笑っていました。
ある山には手づくりの望遠鏡まで取り付けられていました。遠くのお父さんの会社を見ているのだそうです。
そう、お父さんの会社も山の向こうにはありました。
川には大きな橋がいくつも架かり、ループ状のトンネルも建ちました。
駅も電車も立体物として町の中心には置かれています。
そのどれもが、平面の画用紙から、折る、描く、切る、貼る、の繰り返しで生まれた、まさに子どもたちの「マイ・タウン」です。
ワークショップの仕上げに、グループごとで分かれてつくっていたクラフト紙の上の町をひとつにつなげてみました。それはほんとうに想像をはるかに超えた、世界にたったひとつの夢の町でした。

協力し合うことで生まれるアート作品、さらに段ボールアートへ

年長クラスでは、クラフト紙をグループ別に分けず、それらをひとつにつなぎ合わせて敷きました。
はじめからみんなで協力してひとつの町づくりを目指して欲しいと考えたからです。
それから段ボール箱も素材として使用しても良いことにしました。もちろん、そのままではなく町の一部として手を加えることにして。

年中クラスと同様に、まずは先生が平面の画用紙を使って立体にするということを手本として見せました。
さすがに年中クラスの子どもたちは飲み込みも早く、すぐにでも作業に入りたいと催促です。
先生もそれは十分に承知していますから、細かな注意はその都度与えることにして早速創作活動開始です。

どういうわけか、年長クラスの子どもたちには段ボール箱が人気で、あっという間に積み上げていた段ボール箱が無くなりました。もともとこれが主ではないので、限られた個数しか用意していません。
これには先生も保育士も予期せぬことでしたが、つまらないおとなの事情や方針を押し付けることはせずに子どもたちの自主性に任せることにしました。
その結果、ひとつの段ボールに数人の子どもたち(男子・女子)が協力し合って「水族館」や「お化け屋敷」、「警察署」に「スーパーマーケット」などをつくることになりました。
それぞれのアイデアと技量を合わせて扉をつくり、窓を開け、壁や屋根の色や模様を考え、看板をつくるなど実に大がかりなオブジェを完成させました。
それも、そのすべてのことを子どもたち自身で相談し合って決めたようです。

もちろん、先生が最初に示した平面の画用紙を立体化していく課題に対して、終始知恵をしぼって取り組んでいた子どもたちもたくさんいました。
そこには円すい型の山があり、頂上にはやはりたくさんのひとたちが笑顔で立っています。
そのふもとには大小さまざまな家が立ち並び、そこから続く道の先には公園のような広場があり、そのなかには大きな木も鉄棒もあって、笑顔であそんでいるひとの姿がいっぱいありました。

段ボール箱の制作に悪戦苦闘する子どもたち、あくまでも平面の画用紙を立体化していくことにこだわる子どもたち、そのどちらへも融合する子どもたちとほんとうにさまざまです。
その関わり方は違っていても、誰もが個性的ですばらしい作品を生み出しました。

今回のワークショップでは、他者との関りを学ぶ、つまり仲間で力を合わせてひとつの作品「紙の立体タウン」を仕上げるということもひとつのテーマでしたが、それは見事に成されたと思います。
一人ひとりでつくった作品でも、それらが集まれば予想を超えた巨大なアートに生まれ変わります。

年長クラスの子どもたちも、ワークショップ終わりに床に敷かれたクラフト紙を囲み、それぞれの作品についての感想を述べ合いました。そのように自分たちの作品を語ること、それを聞くことは創作という現場には重要なことです。

年中クラスも年長クラスも、作品としては、実は未完成なのです。
それを子どもたち誰もが自覚しているように思います。
アートには完成などありませんから、見ればみるほど手を加えたくなるものです。
それが子どもたちにもわかってきたということは大きな収穫です。
そこで、園長や保育士のご厚意でしばらくそのままの状態で園内に保管していただき、時間を見て少しずつ町づくりを進めてもらうことにしました。
完成がいつにあるかはわかりませんが、この先の「マイ・タウン」が楽しみです。

少し横道に逸れますが、日本で段ボールアートに着目し、その先駆者となったのは現東京芸術大学学長に就任した日比野克彦さんです。
1980年代はじめに、段ボールアートが注目され、マスコミでも多く取り上げられました。以降、この段ボールアートはれっきとしたひとつの表現方法として認知されています。
なので、今回年長クラスの子どもたちがそのような知識がひとつもないまま、こんなふうに段ボールアートに目覚めていくさまは、実にすばらしいと感じました。

「でんぷんのり」から学ぶこと、そして子どもたちが理屈を超えて体感する世界

今回のワークショップでは、紙を貼り付けるための接着用のりにも先生のこだわりがありました。
いま、のりといってもさまざまな用途に応じてたくさんの種類があります。
最近では液体のりやスティックのりが定番の商品として、誰もが日常で利用しています。子どもたちもそれら定番ののりは使いなれていると思います。
第一に手指を汚すことがないのと、貼りたいところに簡単に塗ることができるという優れものです。
ただ、今回のワークショップではあえて昔ながらの「でんぷんのり」を使いました。

「でんぷんのり」は食物由来のものが主な原料ですから、まず子どもたちには安全です。
しかし、指を直接のりに取り、のりしろ部分にこれまた直接塗りこまなければなりません。そのためにシワができやすく、塗りもむらになるので、根気よく丁寧に、まんべんなく均等に塗るという面倒な作業になります。
それでもその分、自分が貼り合わせたいと思う部分が広範囲であっても、変形した場所であっても、指の使い方次第で自由自在に塗り込むことができます。

手指を汚すことなく、簡単で、しかもピンポイントに使える定番のものは多くの利点を含んでいますが、手間暇かけてじっくりとそのものと向き合うという、いわば思考する時間をあっさり奪ってしまいます。
そこで今回は、子どもたちにあえて手間暇をかけ、じっくりそのものと向き合う時間のなかで、創作することや、のりと紙のことなどを一人ひとりに探って欲しいという思いがありました。

最後に「にじいろワークショップ」を企画・指導する松澤先生に今回のワークショップについて伺いました。
「毎回感じることですが、子どもたちの発想力にはほんとうに驚かされます。
おとながどれほど考えて、考えぬいてものごとを進めようとしても、子どもたちのイマジネーションと行動力にはかないませんね。
今回のワークショップもまさにそんな感じで、一瞬にして予期せぬ方向に動いていきましたから。でも、もちろんそれは良い意味で、ですよ」
先生はまずそんなふうに切り出し、こう続けました。
「今回、子どもたちに一番学んで欲しかったこと、体験して欲しかったことは、一枚の平面である紙が、折ること、切ること、貼り付けるといった単純な動作を加えることで〈立体〉物に変わるということです。
紙そのままでは立たせることができなくても、ちょっとした手間や工夫を施すことで起き上がってくるということを知るのは、おおげさな言い方かもしれませんが、次への発想力や想像力のステップにつながります。
そのことを子どもたちに、あそびながら体感して欲しいと思っていました。
そのなかで、のりと紙の相性というか、まるでちがう素材が互いに補うことで新しい関係性が生まれるとか、
そんなことも学びとってもらえたら、なんて(笑)。
でも、いまはそんな難しい理屈など子どもたちには不要ですし、見ての通り、子どもたちは理屈より先にどんどん新しい世界へ自らの力で広げていき、短時間のうちに目覚ましく成長していきますからね」
と今回のワークショップを笑顔で振り返っていました。

ドキュメンテーション

「紙の立体タウン」
紙を貼る、立てる、曲げるなどの基本的な方法を使い、自分の世界を広げていく。
見立てて遊ぶことを楽しむ、友達と関わりながら、新しいアイデアを取り入れながら遊ぶ。

written by OSAMU TAKAYANAGI

【羽村市】コロナ禍における保育施設利用ガイドライン(第6版)

2022年9月16日 金曜日投稿

コロナ禍における保育施設利用ガイドライン(第6版)

 保育施設では、子どもたちの安全に十分配慮して運営していますが、集団感染が発生するリスクを完全に防ぐことはできません。 集団で園生活を送るということは、ご自身のお子さんが感染するリスクがあると同時に、他のお子さんを感染させてしまうリスクもあ りますので、お互いに ルールを守って ご利用いただきますようお願いします 。

1 保育施設利用にあたっての留意事項

(1) 園児および同居家族 の 朝夕の検温、体調チェックは必ず行ってください 。 園児に発熱(37.5℃以上)や呼吸器症状等の風邪症状が見られる 場合 は 、症状が治まり24時間が経過するまで お預かりできません 。また、園児の体調が良好な場合でも、同居家族に風邪症状が見られる場合は登園を控えてください。 なお、呼吸器症状が 新型コロナウイルス 感染症に起因するものでないと医師が判断した場合はこの限りではありません。

(2) 保育施設で感染者が確認された場合、濃厚接触者の特定は行いません。 感染者を特定できる情報を除いてお知らせをいたしますので、お子さんの体調にご留意願います。 登園に関する制限はありませんので、健康状態を観察し、判断いただくようお願いいたします。

(3) 園児の感染が確認された場合、または濃厚接触者に特定された場合(保育施設以外で園児が感染者と接触した、同居家族の感染が確認されたなど)は、速やかに園に連絡してください。

(4) 園児が陽性者となり、症状がある場合は発症日を0日目として7日間、無症状の場合は検査日を0日目として7日間が療養期間となります。また濃厚接触者となった場合は、最後に感染者と濃厚接触した日を0日目として5日間が待機期間となります。

(5) 園児が医師の診断によりPCR検査を受けることとなった場合は、速やかに園に連絡してください。PCR検査で陰性が確認されるまではお預かりすることができません。ただし、保健所から指導があった場合は、そちらを優先します。

(6) 園児の同居家族が濃厚接触者に特定された場合や、医師の診断によりPCR検査を受けることとなった場合については、園児が濃厚接触者に特定されなければ登園可能とします。ただし、濃厚接触者に特定された、若しくはPCR検査を受けた同居家族の方による園児の送迎については、指定された待機期間中はご遠慮ください。

(7) 園内の過密状態を少しでも軽減するため、保育時間(保育標準時間の場合は午前7時~午後6時、保育短時間の場合は午前8時30分~午後4時30分)にかかわらず、勤務先の出退勤時間に応じた送迎にご協力ください。

2 情報の共有等

(1) 「1 保育施設利用にあたっての留意事項」に沿って情報提供いただいた内容は、園と市で情報共有させていただきます。また、園児に兄弟姉妹がいる場合は、必要に応じて、学童クラブ担当、小中学校等へ情報提供する場合がありますのでご承知おきください。

(2) 園児が新型コロナウイルスに感染した場合は、個人名やクラス名等は伏せた上で、感染の経過等について、園の連絡網等により保護者の皆さまへ情報提供します。

3 臨時休園

(1) 園児及び園職員が5名以上同一の感染源から感染したと疑われる場合は、濃厚接触者の特定、保健所による調査などの対応を行います。その際、施設の消毒や濃厚接触者の特定のため直ちに休園となる場合があります。

(2) 臨時休園となった場合は、感染拡大のリスクを抑制する観点から他の保育施設での代替保育は実施できませんので、自宅保育等で対応できるようあらかじめご準備くださいますようお願いします。

(3) 市が羽村市社会福祉協議会に委託実施しているファミリー・サポート・センター事業では、サービスを提供する協力会員とサービスを受ける利用会員による共助の仕組みとなっており、日時等の条件が合えばお子さんをお預かりすることができます(有料)。
利用にあたっては、事前に利用会員登録が必要となりますので、利用する可能性がある場合は、羽村市社会福祉協議会(電話042-554-0304)で登録手続きをお願いします(平日のみの受付となりますのでご注意ください。)。詳しくは、市または社会福祉協議会の公式サイトでご確認ください。

4 人権尊重、個人情報の保護

感染された方の詮索、園児等への差別や偏見、SNS等でのむやみな情報拡散などが起こらないよう十分ご配慮ください。

5 新型コロナウイルス相談窓口

【平日 午前9時~午後5時】西多摩保健所(0428-22-6141)
【平日・土日・夜間】東京都発熱相談センター(03-5320-4592または03-6258-5780)

陽性者の療養期間及び家族が陽性となった場合の待機期間の考え方(2022/9/15更新)

2022年9月15日 木曜日投稿

陽性者の療養期間について

※抗原定性検査キットを使用しての療養期間の短縮について、乳児・幼児は対象外となります(2022/9/15 西多摩保健所に確認)。

陽性者の療養期間中の外出自粛について

有症状の場合で症状軽快から24時間経過後または無症状の場合には、必ずマスクを着用するなど自主的な感染予防行動を徹底することを前提に、食料品等の買い出しなど必要最低限の外出を行うことは差し支えありません。

濃厚接触者の待機期間について

※抗原定性検査キットを使用しての療養期間の短縮について、乳児・幼児は対象外となります(2022/9/15 西多摩保健所に確認)。

家庭内での感染対策について

  • ・感染者とほかの同居者の部屋を可能な限り分ける。
  • ・感染者の世話をする人は、できるだけ限られた方(一人が望ましい)にする。
  • ・できるだけ全員がマスクを使用する。
  • ・小まめにうがい・手洗いをする。
  • ・定期的な換気をする。
  • ・取っ手、ノブなどの共用する部分を消毒する。
  • ・洗面所・トイレを共用する場合は十分な清掃と換気を行う。入浴は感染者が最後に入る。
  • ・ゴミは密閉して捨てる。
  • ・日々の健康観察を行い、体調が悪いと感じたときは「かかりつけ医」または「東京都 発熱相談センター(03-5320-4592・03-6258-5780)」に相談する。

新型コロナウイルス感染症ポータル(郡山市役所HP)を一部修正

【厚労省】新型コロナウイルス感染症の患者に対する療養期間等の見直しについて

2022年9月8日 木曜日投稿

事務連絡
令和4年9月7日

各 都道府県 保健所設置市 衛生主管部(局) 特別区 御中

厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部

新型コロナウイルス感染症の患者に対する療養期間等の見直しについて

 平素より、新型コロナウイルス感染症対策に御尽力、御協力を賜り、誠にありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染症の患者に対する療養解除基準については、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和3年2月25日付け健感発0225第1号厚生労働省健康局結核感染症課長通知。以下「令和3年2月25日付け課長通知」という。)及び「新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合の対応について」(令和4年1月5日付け(令和4年2月2日最終改正)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)に基づき対応をお願いしており、その療養期間については、

  1. 有症状患者については、発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合には11日目から解除を可能
  2. 無症状患者(無症状病原体保有者)については、検体採取日から7日間を経過した場合には8日目に療養解除を可能(ただし、10日間が経過するまでは、検温など自身による健康状態の確認や、リスクの高い場所の利用や会食等を避けること、マスクを着用すること等の感染対策を求めること)

を基本としています。
 今般、オミクロン株の特性を踏まえた療養期間等については、本日の第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおける議論を踏まえ、With コロナの新たな段階への移行を見据え、以下のとおり見直すこととしましたので、内容について御了知の上、関係各所へ周知の程、お願い申し上げます。
 なお、本見直しについては 、本日(令和4年9月7日)より適用となり、同日時点で患者である者にも適用いたします。

  1. 有症状又は無症状患者の療養期間等について、下記のとおりとすること。
    1. 有症状患者(※1)
      1. B以外の者
        • 発症日から7日間経過し、かつ、症状軽快後24 時間経過した場合には8日目から解除を可能とする。
        • ただし、10 日間が経過するまでは、感染リスクが残存することから、検温など自身による健康状態の確認や、高齢者等ハイリスク者との接触、ハイリスク施設への不要不急の訪問、感染リスクの高い場所の利用や会食等を避けること、マスクを着用すること等、自主的な感染予防行動の徹底をお願いする。
      2. 現に入院している者(※2) (従来から変更無し)
        • 発症日から10 日間経過し、かつ、症状軽快後72 時間経過した場合に11日目から解除を可能とする。
        • ※1 人工呼吸器等による治療を行った場合を除く。
        • ※2 高齢者施設に入所している者を含む。
    2. 無症状患者(無症状病原体保有者)
      • 検体採取日から7日間を経過した場合には8日目に療養解除を可能とする(従来から変更なし)。
      • 加えて、5日目の検査キットによる検査で陰性を確認した場合には、5日間経過後(6日目)に解除を可能とする。ただし、7日間が経過するまでは、感染リスクが残存することから、検温など自身による健康状態の確認や、高齢者等ハイリスク者との接触、ハイリスク施設への不要不急の訪問、感染リスクの高い場所の利用や会食等を避けること、マスクを着用すること等、自主的な感染」「予防行動の徹底をお願いする。
  2. 療養期間中の外出自粛について、有症状の場合で症状軽快から24 時間経過後又は無症状の場合には、外出時や人と接する際に必ずマスクを着用するなど自主的な感染予防行動を徹底することを前提に、食料品等の買い出しなど必要最小限の外出を行うことは差し支えないこと。
  3. 1及び2に記載する事項を除く新型コロナウイルス感染症の患者に対する療養解除基準については、引き続き、令和3年2月25 日付け課長通知に基づき対応すること。

※抗原定性検査キットを使用しての療養期間の短縮について、乳児・幼児は対象外となります(2022/9/15 西多摩保健所に確認)。

【にじいろWS 2022-8月】生き物のデザイン おさかな

2022年8月30日 火曜日投稿

子どもたちのイメージが自由に泳ぎだす、『あおぞら水族館』へようこそ!

「初秋の候」と書き出す手紙は、暦でいうところの8月下旬から9月上旬です。
でも、まだまだ気温の高い日もあり、なかなか「秋」の気配を感じられそうにありません。
そんな暑さが残るなか、今回は気持ちだけでも涼しい気分を味わえるワークショップとなりました。

あるアンケートで「夏休みに行くなら、動物園ですか?水族館ですか?」という質問をしたところ、なんと8割以上が〈水族館〉と回答したといいます。
これだけ暑いとやはり屋外よりは屋内がいいですし、館内はどこも涼しく、またちょっとうす暗い空間というのも日常から離れたやすらぎを覚えたりします。もちろんガラスの水槽を自由に泳ぐおさかなたちにもいやされる、そんなところが子どもたちにもおとなにも人気なのでしょう。

そこで今回のワークショップは、子どもたちに『あおぞら水族館』をつくってもらうことにしました。
と言っても、アート作品によるイメージのなかでの水族館です。
この水族館は、子どもたちひとりひとりが自由に描いたおさかなをたくさん泳がせます。
そのおさかなを描くためのさまざまな道具(クレヨン、色えんぴつ、絵の具、そしてパレットに筆、綿棒など)を使って、表現の仕方やかたちや色彩のおもしろさを体験します。
さて、どんな『あおぞら水族館』ができあがるのでしょうか!?

いつもの絵の具でも、絵筆から〈綿棒〉まで、表現方法は多彩です

年中クラスの子どもたちが集まる前に、まず先生が色画用紙(白・黒・紫系・青系など)にいろいろなおさかなのかたちを描き、それを1枚1枚切り抜きました。
ですから、おさかなといってもかたちだけです。
よく見るおさかなのかたちもあれば、なかにはタコやクラゲ、エイなど変わったかたちの海の仲間もいっぱいいます。
今回のワークショップは、このおさかなのかたちに切り抜いた画用紙に子どもたちが色彩をほどこして、自分だけのおさかなに仕上げていきます。

準備が整ったところで、年中クラスの子どもたちが元気よく集まりました。
先生は最初にさまざまな種類のおさかなの写真がコピーされた紙を子どもたちに渡して、おさかなの話をはじめました。
でも、どうやら先生より子どもたちのほうがおさかなには詳しそう。
実際に水族館や図鑑などでおさかなを見ているのでしょうね。子どもたちの口から好きなおさかなやタコの名前などが次々に飛び出しました。
そこで先生は子どもたちの目の前に、先に用意したおさかなのかたちに切り抜いた画用紙を並べました。
さすがに子どもたちはよく知っています。
かたちを見ただけで、それがどんなおさかなかを言い当ててしまいました。
先生も図鑑などを参考にして描いたので、そのものに見えてほっとしたようすです(笑)。
「この中から、自分の好きなおさかな(かたち)を選んでね」と先生がいうと、子どもたちはお目当てのおさかなを探して手にしました。
同じ種類のものを複数枚用意しているので、子どもたちはひとり1枚、お気に入りのおさかなを選ぶことができます。

次に先生は切り抜いたおさかなを手元に置いて子どもたちをその周囲に集めると、今回はどんなことをするのかを説明しました。
先生の前に置かれたおさかなを指して、「さあ、これに色をつけていきます」と言い、はじめはクレヨンで色をつけました。それから今度は筆を使って絵の具で塗りました。
いろいろな色がおさかなの表面を埋めていきました。
単色で模様のなかったおさかなが、徐々に鮮やかな色彩に染まり、縦シマのうろこの模様までつきました。
そうなると、なんだか本物のおさかながそこに寝ているようです。
仕上げに、先生はおもしろいものを取り出しました。
それは、どこの家にでもあるごくごく一般的な〈綿棒〉です。
ここまでは子どもたちもいつもの道具なので平然と見ていましたが、〈綿棒〉が出て来た瞬間、誰の顔にも「?」が浮かんでいました。

先生は〈綿棒〉の先を絵の具にちょんちょんと軽くつけると、クレヨンや絵の具が塗られたおさかなの目やうろこ部分にその〈綿棒〉を、やはりちょんちょんと軽く押しつけました。
すると、おさかなの表面にちょんちょんと色の斑点模様ができました。
子どもたちはそれを見てびっくりです。
ここまで説明をしたら、いまの年中クラスの子どもたちには十分です。
自分のおさかなをひらひら泳がせるように手に持って、各自のテーブルに座りました。
もうこれから先はおわかりかと思いますが、子どもたちはすぐさま時間を忘れるほど夢中で色づけをはじめました。

クレヨン、絵の具は慣れたものです。黙っていてもどんどん作業は進んでいきます。
でも、〈綿棒〉はちょっと勝手が違うようで、どの子も筆から持ち替えると、試しながらゆっくりと点をつけていました。
しかしそれもつかの間、みるみる慣れた手つきにかわり、あちらこちらに色とりどりの点々が。
そればかりか、おさかな全体の模様をその点だけで描いている子さえいました。
絵の具の色をつけて1点ずつ押していく作業の繰り返しですから、これだけで大きな面を塗ろうとするなら、それはもうほんとうに辛抱強く、粘り強く続けていくいく以外にありません。
その根気はどこからくるのでしょうか、うらやましい限りです。

こうして仕上がったたくさんのおさかなたちは、部屋に敷いたブルーシートの〝水族館〟に放します。
どれひとつとして同じおさかなはいませんし、どれもが個性豊かで、自由に、楽しそうに泳ぎ回っています。
絵の具が乾いたら、今度は外からも眺められるようにガラス扉に貼りましょう。
ちょっとほかでは見られない『あおぞら水族館』の完成です!

難易度を上げても、蓄積した体験や学んだスキルで十分に対応できます

年長クラスのはじまりは年中クラスの子どもたち同様に、おさかなの写真がコピーされた紙を見せながら、おさかなの話から。
でも年長クラスの子どもたちもおさかなのことをよく知っています。
つい最近、沖縄の水族館に行ったよ、という子どももいました。
ほかにも都内や近郊の水族館に行った子どもたちが多いのには驚きました。
先生も保育士も、これにはタジタジです。

では、ここからが実践。
年長クラスの子どもたちは、まず先生が先に切り抜いたおさかなのかたちを選びます。
ここまでは同じですが、それを通常の画用紙の上に置き、そのおさかなのかたちを線でなぞります。
それができたら、その画用紙になぞったおさかなを自分で切り抜きます。
先生は考えたすえに、年長クラスの子どもたちなら、もうそれくらいのスキルはあるはず、と。
また好きなおさかなのかたちを自分でつくるほうが楽しいんじゃないかな、って話していました。

先生の狙いは的中です。
一年以上ワークショップで鍛えてきたからでしょうか、先生の思惑通り、だれもが簡単におさかなのかたちに切り抜きました。ハサミの使い方も、おとうさん、おかあさんより上手かも。
さらに先生が言うように、自分の好きなおさかなのかたちを画用紙に描いて、それを切り抜く子もいました。
例えば、細長いおさかなをつくりたいといって、画用紙を細長く切り、それをセロテープでつなげた子も。
先生から課題を聞くだけでオリジナルのものづくりに挑戦する子どもたちが出てくるのですから、少しずつ時間をかけて蓄積した経験や学んだことが、こうして次に活きてくるってすごいことだなぁ、とつくづく感じました。

それから先生は、年長クラスの子どもたちには使用する画材もふやしました。
あらたに加えたのは特色ある色えんぴつです。
ひとつは初心者でも扱いやすい一般的な芯が硬質の色えんぴつ。
それから、軟質な芯でタッチもやわらかく、描いたあとを水のついた筆でなぞれば、その色えんぴつの部分が水に溶けて水彩画のような表現に変化するというものです。
その際に、えんぴつのように立てて握らず、横に寝かせるように使うことも教えました。
目の前で描かれていくそんな色えんぴつの効果を、子どもたちは食い入るように見入っていました。

子どもたちはそれぞれのテーブルの上に、自分で切り抜いたおさかなを置き、最初はクレヨンで全体的な下地を塗ります。
あとは先生に教えてもらった色えんぴつを使う子、絵の具に筆を使う子、綿棒を上手に使いこなす子、仕上げまでの道具も技法もさまざま、自分の思うように描いていきます。
それについてあらためて指導をすることはありません。
基本的な使い方は、もう誰の手にも十分刷り込まれています。

おさかなに描かれた模様も、色彩もほんとうにひとつひとつが違っていて、とっても個性的です。
だから、年中さんたちのおさかなと同じく、かたちは同じようでも、どれひとつとして同じおさかなはここにも存在しません。
仕上がったおさかなたちは、やはり大きなブルーシートの〝水族館〟に泳がせました。
それを囲んで、みんなで『あおぞら水族館』の鑑賞会です。
まだまだ描き足りない子どももいます。
そんな子どもたちに保育士は、「もっと描きたいひとは、午後にまた絵の具を使うから、そのときに描いてもいいよ」と声をかけました。
子どもたちは、やったー!と嬉しいそう。どの子もほんとうに好きなんですね、創作することが。
こんな言葉を急に思い出しました。
「好きこそものの上手なれ」
・・・シンプルでありふれたフレーズですが、的を得たことばのように思えます。

さまざまな道具を使うこと、「点描」という技法、そして考えて描くということ

今回のワークショップは、年中クラスと年長クラスでは若干内容の難易度が違いました。
それは経験や年齢に応じてのものなので、特に他意はありません。
アートもある意味〈学び〉ですから、一気に詰め込むのではなく、少しずつ、楽しく知識や経験を重ね、感性を磨いていくことが大事です。

さて、今回はひとつの作品づくりに、さまざまな道具を上手に使いこなすことを覚えました。
特におもしろい道具だったのが、絵の具を塗るときに筆ではなく〈綿棒〉を使ったことです。
これはどの子も気にいったようで、必ず数回は使用していました。

筆のように一度にひろい範囲を塗ることはできませんが、このおもしろいところは、小さな点をいくつもいくつも描くことができるということです。
そして、これは「点描」という絵画の表現技法で、実際には〈綿棒〉ではなく筆を用います。
少し専門的な話をすれば、19世紀に活躍したフランスの新印象派主義と呼ばれた画家ジョルズ・スーラが発案した絵の具の新しい技法です。これは後にゴッホやマチスといった巨匠にも影響を与えました。
スーラの作品は有名なものが多いので、ひょっとしたら一度くらいは彼の作品をご覧になっているかもしれません。しかし、見事な点描作品を描いていた子どももいましたので、感心して見入ってしまいました。

今回も締めに「にじいろワークショップ」を企画・指導する松澤先生に今回のワークショップについて語っていただきました。
「今回のワークショップは、ある子どもが放った一言に尽きるかな」と開口一番にそういうと、こう続けました。
「自分のさかなを前にして、なかなか筆が進まない子がいたので、どうしたの?って聞いたら、〈先生、わたし、いろいろかんがえながら描いてるんです!〉って言われてしまって。
それ聞いて、そうだよね、なんでもかんでも描けばいいってものじゃないよね、って思わず言ったんです。
そう、そういうことなんですよね。
この子たちはこのワークショップに参加して、絵を描くことってどういうこと、アートってどんなもの、ってことをずっと体験しているのだから、感覚で描くことも必要だけど、やっぱり考えて描くって大切なことです。そういう意味では、今回の作品はどれもほんとうに素晴らしいものになったんじゃないかな。
さかなのかたちを自分で選び、色づけする道具やその手法を自分で選び、それがそれぞれの個性になって、表現されたと思います」
松澤先生は、そんな子どもたちの作品を1点1点自らガラス扉に貼りながら、なんだかとても嬉しそうでした。

ドキュメンテーション

「生き物のデザイン おさかな」
前回は絵の具をダイナミックに使い、混ぜる、感触として体感した絵の具ですが、今回は少し、慎重に使います。
生き物の色やデザインに注目して描くことをしてみます。初めての試みです。
多くの生き物は自然の中で実に豊かな形状と色を持っています。
形や色の概念を取り払い、注意深く観察しながら、描くことを体験します。
またパレットの使い方も経験します。

written by OSAMU TAKAYANAGI