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【羽村市】オミクロン株の急速拡大に伴う保育施設の利用について

2022年1月14日 金曜日投稿

事務連絡
令和4年1月14日

市内保育施設利用者 各位

羽村市子ども家庭部子育て支援課長

オミクロン株の急速拡大に伴う保育施設の利用について

 日頃より羽村市の行政運営並びにコロナ禍における保育施設等の運営に、ご理解とご協力をいただき誠にありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、令和4年1月以降、都内の新規感染者数が急増しています。新規感染者は若い方も増えおり、感染者との接触歴が不明な方が急増しています。
 こうした状況を受け、令和4年1月11日に東京都から「オミクロン株の急速拡大に伴う緊急対応」の協力依頼と要請がありました。保育施設等については、基本的な感染防止策の実施を徹底するよう協力を依頼されています。
 このことから、保育施設の利用にあたりましては、過日配布しました「コロナ禍における保育施設利用ガイドライン(第2版)」に基づき、ルールを守ってご利用いただきますよう、改めてお
願いいたします。
 特に、以下についてご確認のうえ、ご留意ください。

  • お子さんや同居のご家族に風邪症状等の体調不良が見られる場合は、必ず登園を控えてください。
  • お子さんや同居のご家族がPCR検査を受けた場合は、園に報告してください。

 また、施設での感染拡大の状況によっては、緊急に休園とする場合があります。

 臨時休園となった場合は、感染拡大のリスクを抑制する観点から、他の保育施設での代替保育は実施できません。自宅保育等で対応できるよう、あらかじめご準備くだいますようお願いいたします。

 保育施設では、引き続き、子どもの安全を第一に保育を実施してまいりますので、保護者のみなさまにおかれましても、これまで以上にご家庭での感染予防を徹底するとともに、体調管理にご注意いただきますようお願いいたします。
 ご不明な点等がございましたら下記担当までお問い合わせください。

【問合せ】
子育て支援課保育・幼稚園係
電話 042-555-1111 内線 231

【にじいろWS 2021-12月】冬至の野菜を見つめて 墨絵

2021年12月22日 水曜日投稿

冬至の野菜をモチーフに、視て、触れて、食するアートワーク

12月に入り、2021(令和3)年もあとわずかです。
日没が早まり、一日の終わりを告げる時間帯も早くなりました。
お迎えの時間にもなると、もうあたりは真っ暗です。
こうした日常のありふれたことで、冬の到来と一年の終わりを実感する方は多いでしょう。
そんな時節を象徴することのひとつに「冬至」があります。
存知の通り、「冬至」とは1年でもっとも太陽の出ている時間が短くて、夜が長い日です。
天文学的には、毎年12月22日ごろに観られる現象ですが、今年は22日(水曜日)がそれに当たります。

そこで、今回のワークショップは、この「冬至」をテーマにしたアートワークです。
もちろん、いつものように難しいことを学ぶのではなく、子どもたちには、「冬至」ということをこころとからだで感じとってもらいました。
また今回は、子どもたちの毎日を〈食〉の面からサポートしている当園の栄養士をはじめ、調理を担当している先生方の協力を得て、古くから伝えられてきた「冬至」に食する野菜をモチーフにしました。

視て、触れて、描いて、最後は給食で食する。そんな、まるごと体感型のワークショップです。

かぼちゃに大根…まじまじ見たことありますか?

フロアに集合した子どもたちに、先生が最初に発したのは、
「今日はスペシャルゲストたちが来てくれましたよ!」という唐突な言葉でした。
そんな言い回しにきょとんとする子どもたち。
その直後、みんなの視線がとらえたのは、なんと新聞紙の上に並べられたいくつもの野菜でした。
「紹介しま~す、採れたてのカボチャ、さわやかな香りのゆず、太くておおきな大根です」
と、先生はいたってまじめに、でも楽しそうに紹介しました。
子どもたちは呆気にとられた風でしたが、徐々に笑い声に変わりました。
日頃から目にする野菜ばかりなので、「これ、な~に?」と言う子はいません。でも、目の前であらためてまじまじと見せられたのは初めてのようです。

さて、今回のワークショップはこれら野菜をモチーフします。
なので、いつもの進行とは違い、先生より先に当園の栄養士のおはなしからはじまりました。

室内に用意された1脚の長テーブル。
その上には、調理用のまな板と包丁、それからかぼちゃとゆず。
子どもたちはそのテーブルの手前には座り、テーブルの向かいには栄養士が座りました。
これから何がはじまるのか、子どもたちは静かにまっすぐな視線を栄養士に向けています。
栄養士は、いつもと勝手が違うのでちょっと緊張気味。
でも、かぼちゃやゆずを手に取り〈食〉の話をはじめると、緊張した姿はどこへやら、饒舌な話し方に変わりました。

近づく「冬至」のおはなし、本来の収穫からすれば夏野菜であるはずのかぼちゃを、どうしてこの時期に食べるのか、ゆずの効能から食べ方など、ほかにも大根についてなど興味深い話が次々に飛び出します。
そしておはなしの最後にかぼちゃとゆずに包丁を入れ、それぞれをふたつに切り分けました。
切り分けられたふたつの野菜の断面なんて、そうそう眺めることはないでしょうから。

「まんなかに小さなタネがみえるでしょ」とかぼちゃの断面を子どもたちに向ける栄養士。
「ほんとだ!」と真剣に見つめる子どもたち。
「中身に栄養がいっぱい詰まってるんだよ」と言いながら、さらに説明を加えていきます。
「すげえ~きれい」と、野菜の断面の美しさに見とれる子もいます。
こうした新鮮できれいな野菜が毎日の給食に使われている、そんな当たり前のことだけれど、あらためて実感した子どもたちは、誰もが〈食〉に関心を示したようでした。

栄養士の話が一通り終わると、いよいよ本日のワークショップのスタートです。

墨絵の世界を体感し、色彩を加えてより個性的な作品に

栄養士からバトンを受けて、再び先生の登場です。
まずは、おなじみの前説から・・・。
野菜のおはなしを引き継いでおおきな大根を1本手に取ると、なんと民話の世界へと子どもたちを誘います。
ロシアの民話で有名な『おおきなかぶ』ならぬ、『おおきな“大根”』に話を転じて、「うんとこしょ、どっこいしょ、まだぬけない、〇〇くん、〇〇ちゃんも手伝って!」と子どもたち全員を巻き込み、ちょっとしたお芝居のごとく大騒ぎ。

これで子どもたちの気持ちが、一気にいつものワークショップに切り替わりました。
いつもながらですが、これって落語でいうところの〈まくら〉に似ていませんか?
〈まくら〉とは、おはなしの最初に、お客の気持ちを一気に落語の世界に引き込むために語る、ちょっとした前説のようなもの。
でも、こういうことってアートワークにも必要なことです。日常から、スーッとアートの世界に入りこむための入り口づくりとして・・・。

先生の前説が終わり、子どもたちの気持ちがひとつの方向に向くと、先生はその大根を床に置き、その周りに子どもたちを集めました。
先生は、その大根の形に添うように1枚の長方形の和紙(障子紙)を置き、これからはじめることを話しました。
「この大根をこの紙に描いていきます。ただし、今日はこの道具を使って描きます」と、先生は筆と墨汁を差し出しました。
それから墨について、簡単に説明しました。
「(なたね)油や松の根を燃やしてできたもの(油煙)をにかわで練って・・・」と。
これはいま学ばなくてもいいことです。でも、きちんと説明し、一度は耳に覚えさせておくことも大事です。

そんな風に話しながら、墨の入った容器をひとりひとりに回して、墨のもつ独特な匂いをかいでもらいました。
「ゲッ、臭~っ!」と言う子、なんとも形容しがたいという子、意外にイイ香りかも、という顔をする子、さまざまな感想がでます。感想は個人個人違っていい。直接体感することこそが大切です。

先生はゆっくり筆を墨に浸すと、大根をじっくり見て、解説を交えながら葉の部分、身の部分と順々に、ときに大胆に、ときに繊細に筆を進めていきます。
子どもたちは先生の筆の動きに合わせるように、うわぁ~とか、へぇ~とか言葉をもらします。それでも大根を描くその筆先の動きから、誰ひとりとして目をそらすことはありません。

先生が描き上げた大根の絵を掲げて見せると、どこからともなく拍手や「先生、うまい!」なんて言う声が。

先生が見本を描いている間に、保育士たちはモチーフにする野菜(大根、かぼちゃ、ゆず)を中央に置き、それを取り囲むように和紙と墨を入れた皿、それに筆を用意します。これを人数分3グループに分けて準備しました。

子どもたちがそれぞれの位置につくと、当然のことながらそのモチーフとなる野菜の見え方に違いがでます。例えば大根が真横に見える子、葉の部分が手前に見える子、それが奥に見える子、かぼちゃが手前で大根が奥に見える子、またその逆も。
だからといって、子どもたちの筆は動きをとめません。むしろどんどん筆を走らせます。
これって、意外に慣れていない子どもには難しいことです。一年、二年とワークショップに参加してきた子どもたちならではの成果の表れでしょうか。

和紙一面にひとつの野菜を大きく描く子、それぞれの野菜を均等にバランスよく描く子、なかにはその描く線が和紙からはみ出る子。
特に、墨と筆の特性が如実に表れるので、水気が少ないとカサカサな線になり、水気が多いとにじむ線になります。
しかし、偶然にせよ必然にせよ、そこに表れた線はどれもが正解です。
アートの世界には、間違いなどありません。答えは無数にあり、すべてが正解です。
したがって、どの子の描く絵も、個性豊かですばらしい作品です。

実は、これで完成ではありません。
さらに、この墨で描いた絵に色彩を施します。つまり、色を塗っていくのです。
墨絵の世界も美しいですが、今回はモチーフの持つ色味により近づけるように描きます。
先生が先ほどと同様に子どもたちを集めて見本を示し、その間に墨が乾くのを待って、子どもたちは自分の墨一色の絵に鮮やかな色を重ねて、最終の仕上げに入ります。

大根の身はよく見ると白色ばかりではありません、葉に近い部分はやや緑色をしていますし、表面もつるつるではなく、茶褐色の点々も、傷も、へこみさえあってでこぼこしています。だから、その部分は黒っぽく見えるかもしれません。
かぼちゃもゆずも、表面はけっして一色ではなく、さまざまな色が混ざっています。ふたつに切った断面も、中身が何層にも重なっていて、タネもあるし、色だって同系色でも明るさや暗さがあります。
子どもたちはモチーフをじっくり見つめ、たくさんの色を加えて完成に至りました。

食べることも、食を知ることも、すべてがアートへの活力

今年最後のワークショップは「冬至」をテーマに、墨で描くという描画の技法を覚えました。そしてさらに、モチーフとなるもの(今回は野菜ですが)をじっくり視るということを体感しました。
そのことによって、観察する力が自然と備わり、それを繰り返すことでその力は高まります。
子どもたちは無意識ながら、今回その観察する力を養ったはずです。

また、〈食〉についても貴重なおはなしを聞き、野菜についても知ることができました。
家庭ではもちろんこと、園の給食でも食すること、それに関連する食材のことなどは、ともすれば話題になりにくい事柄ですが、健康でいきいきとした毎日を過ごすにあたっては、おろそかにできないことです。
食べることが生きる活力であれば、それに関わることを知りつくすこともりっぱなアートワークの一環です。
特に子どもたちには、そのことを日々のなかで身につけてほしいと考えています。

今年もコロナウィルスの影響で、さまざまな物事が厳しい状況下にありました。
それでも、子どもたちの元気な笑顔とやる気満々の姿勢に、先生や保育士らスタッフ一同励まされてきたように思います。
来年もまた、アートを通じて明るい未来を築けますように!

ドキュメンテーション

今回は、調理の先生方とのコラボレーション企画です。
これまで様々な経験をしてきたワークですが、今回は「食」に着目し、特にこの時期に古くから伝え食されている、冬至の野菜に着目します。
調理の観点から「食」素材についての話を聴き、アートの観点では、その姿、形、色、艶、香り、感触などをよく観て、感じ、描くことを目指します。
観察して「描く」ことは、自身の中の平穏や辛抱強さなども必要となるものです。
その姿に面白さを見い出し、また描くという行為を静かに真剣に遂行するそんな姿を経験して欲しいと思います。

 

written by OSAMU TAKAYANAGI

【動画】保育展 ホップの会「桃太郎」

2021年11月28日 日曜日投稿

今年の保育展は「展示」のみの開催となりました。
そこで、毎年大ホールにて開催していた「ホップの会(羽村市の男性保育士の会)」の公演の代わりとして、
桃太郎(劇)の動画を作成したそうです。

お子さんと一緒に是非ご覧いただければと思います。

【にじいろWS 2021-11月】羊毛と石のペーパーウエイト

2021年11月25日 木曜日投稿

自然素材と石との絶妙なコラボ !?

11月も半ばを過ぎると、当園から望む山の木々も色あざやかな衣装へと衣替えです。
そんな季節のなか、年中・年長クラスの子どもたちが多摩川沿いの河原までお散歩をしました。
お散歩の目的?それはもちろん、穏やかな日差しを浴びながら、おいしい空気を頂きに!
・・・ですが、実はもうひとつ。
お散歩を兼ねて、今回のワークショップの材料を取りに、いや、正確には“拾い”に行きました。

子どもたちが拾うのは、河原にある石ころです。
足もとにゴロゴロ、ゴツゴツと敷き詰められた、あのごく普通の石ころ一つです。
ただし、その石ころは、子どもたちひとりひとりが自分の意思で、自分が最も気に入ったものを選びます。
決まりごとは、手のひらに乗るくらいの大きさであること。それ以外は、色も形もすべて自由です。

この時点では、その石ころをどのように使うかは伝えていませんので、子どもたちは純粋に自分の好みに合った、自分だけの石ころ探しに夢中でした。
石ころだらけのいつもの河原ですが、どうやら子どもたちの目には、この時ばかりは宝の山のように映って見えていたに違いありません。
持ち帰った石を改めて見ると、子どもたちそれぞれの個性や嗜好がはっきり表れていることに感心します。

そして今回は、石ころに加え、さらに重要な材料を用意しました。
それは、温もりのある柔らかな繊維として、これからの季節の装いには欠かせない素材でもある羊毛です。
今回のワークショップは、この羊毛という自然素材の特性を生かし、子どもたちが拾ってきた石ころとの絶妙なコラボによって、世界に二つとない、自分だけのオリジナル〈ペーパーウエイト〉をつくります。

羊毛のお話しと、羽根のような素材におおはしゃぎ!

子どもたちは河原で拾った自分の石ころを一つ、小さなビニール袋の中に大事に入れて集合しました。
お行儀よく座る子どもたちの前には、虹のように色とりどりに染められた毛糸の束が並んでいます。

先生はまず、そのなかの一番太い白色の束を取り出し、それを1本の綱のように長く伸ばして、ぶらぶらと揺らしました。
それを見て子どもたちは「サルの尻尾だ」とか「ゾウの鼻みたい」といって大笑い。
すると今度は、それを枕ほどの塊に丸めて胸に抱きかかえました。
これにはみんなが「あかちゃんのだっこだ」と声をそろえて答えました。
ただの白い毛糸の束なのに、子どもたちにはさまざまなものに見えるようです。

「では、ここで問題!」と先生はその毛糸の塊を掲げて、
「これは動物の毛だけど、なんの動物だがわかるかな?」と聞きました。
ウマだとおもうひと?ゾウだとおもうひと?サルだとおもうひと?
次々に出す動物の名前に、子どもたちはバラバラに手を上げて答えます。
正解は・・・と、先生は一冊の絵本を取り出しました。

それは園の書棚にある『ペレのあたらしいふく』(エルサ・ベスコフ作/おのでらゆりこ絵/福音館)です。
物語は、子羊の世話をする男の子ペレが、羊や近所の人たちの協力で青い服を手に入れるまでのお話です。
子どもたちはそれを見て、すぐに「ひつじ!」とわかりました。
でも、誰もが羊の毛と聞いてびっくりしています。
絵本にも描かれているように、羊の毛は白くてゴアゴアしているのに、目の前の羊の毛は糸のように長くて、柔らかそうで、色だって白ばかりか、赤、黄、青、オレンジ、茶・・・それに黒だって。
先生は、そこで子どもたちに易しく、おかしく、こんな説明をしました。
「羊さんは外で飼われているから、刈ったばかりの毛は泥だらけで汚いし、オシッコやウンチの匂いだってするかもね。だからよーく洗ってきれいにして、1本1本の毛を柔らかく伸ばして。色だっていろんな色がある方がいいでしょ?だから染色という色をつける作業もして。それでこんなふうになるんだよ」
子どもたちは笑いながらも、先生の話に興味深く耳を傾けていました。

次に先生は羊毛の束をひとつ持って、両手で左右に強く引っ張って切り離そうとしました。でも、その束はまったく切れません。今度は優しく、そうっと左右に引っ張ると、スーッとふたつに切れて分かれました。
「羊の毛は、こうやって優しくしないと、ちぎれないんだよ」と先生はその特性を教えました。

また別の束から、手のなかに収まるくらいの小さな塊を切り取ると、それを指で紙のようにうす~く、うす~くたいらに広げ、頭より高い位置から静かに落としました。
すると、それはまるで鳥の羽根のようにふわふわと、空中に漂うようにゆっくり落ちていきました。
子どもたちはそれを不思議そうに眺めていましたが、いつものことながら、もう見ているだけじゃおさまりません。
先生は即座に「じゃ、みんなでやってみよう!」と、羊毛を小さな塊に切り分けて子どもたちに渡しました。
子どもたちは先生にならって、その小さな羊毛をうすく広げ、思い思いに空中に投げ出しました。
どんなに強く投げても、落ちるときはゆっくり落ちます。なかには、それを口もとにおき、ふーっと息を吹きかけて飛ばしてみせる子どもたちもいました。
しばらくは、自分の放ったそれを追って、部屋中を飛んだり跳ねたりおおはしゃぎです。

こうして子どもたちは、羊毛という素材がどんなものかを体感しました。
でも、ちょっと待ってください、これで終了ではありませんよ、ここからが本番の「羊毛と石のペーパーウエイト」づくりですからね。

世界にたった一つだけ、その価値はなにものにも代えがたい

最初に子どもたちは、羊毛を小さな塊に切り分けて、色別に入れた箱から自分で使いたい材料を選びます。
それを長さ10~15㎝ほどのひも状にうすく伸ばし、石ころにぐるりと一回り巻き付けます。石ころにぴったりと貼り付くように、きつく巻き付けます。
それができたら、また別の好きな色を選び、同じようにひも状にうすく伸ばし、それをまたまた石ころに巻き付けます。いく度もそれを繰り返し、縦にひと巻き、横にひと巻き、斜めにひと巻きと、石ころにぐるぐると巻いていきます。石ころの表面が見えなくなるまで巻き続けます。
そこまでできたら、そのままビニール袋に入れ、中性洗剤を直接そのものに数滴たらします。
石ころを包んだ羊毛に中性洗剤が染み込んだら、ビニール袋の上から両手でそれを包み込むようにして、ゴシゴシ、ギュッギュと力いっぱいこすり続けます。
じわじわとビニール袋の内側に泡が出はじめたたら、そっと袋のなかに手を入れ、石ころの表面に巻き付けた羊毛がはがれていないかを確認します。
しっかり巻き付いているのがわかったら袋から取り出し、乾いたタオルで水気を拭きます。
そのまま乾かしておいて、表面から水分がなくなれば完成です。

最後まで黙々と仕上げる子、途中でちょっと飽きてしまう子、材料選びに長い時間迷う子、石に巻くのが終わってしまい、羊毛だけをうすく伸ばしてクルクルと器用に丸めてボールを作る子。
向き合う姿勢はさまざまですが、どの子も最後までしっかり仕上げました。

完成した作品を手に取ればわかりますが、中身は硬い石なのに、表面に羊毛を巻いたことで、とても柔らかで温かな手触りになります。見た目にも、冷たい塊というよりは、人肌のような温もりと自然界の美しさを感じます。
これは、共に自然から生まれた素材であることも要因ではないかと思います。
さらにこの作品について言うなら、石ころの形や色や大きさが違うように、選ぶ羊毛の色も巻き方も二つと同じもが存在しないのですから、これこそまさに世界にたった一つだけの〈ペーパーウエイト〉です。従って、その価値はほかのなにものにも代えがたいといえます。

これは蛇足ですが、小さな〈アート〉作品として生活空間に置けば、装飾品のひとつとして十分に楽しむこともできますので、完成した作品を眺めながら、「どんな風に使おうか?」などと、親子であれこれ想像して会話を交わすだけでも素敵な時間を過ごせるはずです。

太古の昔、ひとは自分の思いを「石」に託した

いまはアスファルトの道路が主流となり、石ころばかりが転がっている、いわゆる砂利道のような道路を見かけなくなりました。
少し時代を遡れば、どこにでもごく普通に石ころがありました。だから子どもたちのあいだでも、石蹴りなど石を使う遊びが多くありました。そんな遊びをする子どもも見なくなりました。
今回のように河原で石ころに触れるという行為は、自然のなかの木や草花と触れることと同じです。
実際に手で触れた石の感触や目で見たさまざまな石の色や形は、きっと子どもたちの心に深く残っていくでしょう。想像力がたくましく、純粋で感受性が豊かだった幼い日の記憶とともに。

最後に、「石」にまつわるおはなしをご紹介します。
それは、「石文(いしぶみ)」というものです。
まだ文字というものがなかった太古の昔、ひとはその時々の気持ちを石に託して相手に送ったといわれています。つまり、その石の持つ手触りや形で自分の思いや状況を伝えた、石の手紙(文)です。
これは、ドラマの脚本や小説などを書いた作家の向田邦子(1929~1981年)さんのエッセイに書かれていますので、ご存知の方も多いかと思います。
ここにその一部を抜粋し、今回のワークショップを閉じることにします。

「昔、ひとがまだ文字を知らなかったころ、遠くにいる恋人へ気持を伝えるのに石を使った、と聞いたことがある。男は、自分の気持ちにピッタリの石を探して旅人にことづける。受け取った女は、目を閉じて掌に石を包み込む。尖った石だと、病気か気持がすさんでいるのかと心がふさぎ、丸いスベスベした石だと、息災だな、と安心した」―向田邦子著『男どき女どき』収録「無口な手紙」より。

ドキュメンテーション

気温が下がり、モコモコの洋服やパジャマなどを出す季節になりました。
昨今ではペットポトルをリサイクルした洋服が身近に感じられるようにもなっていますが、
人は太古から、自然界の恩恵を受けて生きてきました。
肌や体を守る繊維は、植物や動物の毛や革で作られていたものです。

今回は、思わず手に取りたくなる柔らかくて温かい素材
羊の毛に焦点をあててみます。
羊の毛が私たちの生活に実は身近にあることを知り、
その素材の特性を感じ、加工する体験をしてみます。

お散歩で行った先で、自分の手に馴染む石を拾い
石と羊毛のコラボです。

written by OSAMU TAKAYANAGI

【にじいろWS 2021-10月】蜘蛛(クモ)の巣・インスタレーション

2021年10月28日 木曜日投稿

アートを通じて楽しむ、秋の“Happy Halloween!”

10月の楽しみなイベントといえば、いまはハロウィンでしょうか。
昨年はコロナの影響で思うようなイベントが開催できず、寂しい思いをした方が多かったと思います。今年のハロウィンは、かたちはどうあれ、“Happy Halloween!”と笑顔のあいさつだけでも交わせたらいいですね。
さて、今回はそんなハロウィンを意識したワークショップです。
そして、「インスタレーション( Installation )」という表現方法を遊びながら体感します。

ハロウィンはご存知の通り、古代ケルト人の収穫を祝う宗教的なお祭りが始まりだそうです。
その当時、収穫期が終わり冬の季節が訪れると、それにともない魔女や悪霊もやって来ると信じられていました。そこで彼らを追い払うために火を焚き、仮面を被って身を守ったことがその起源といわれています。
現代は宗教的な意味合いはすっかり薄れて、さまざまなコスチュームを身にまとい、明るくてにぎやかな楽しいイベントに変わりました。
それでも、当時恐れられていた魔女や黒猫、コウモリにクモなどは、現代の仮装や飾りつけでも人気のある定番のアイテムです。
今回のワークショップに参加する子どもたちには、その定番のひとつ「クモ」に扮してもらいます。
といっても、クモの衣装を着て変身する必要はありません。気持ちだけクモになって、あのちょっと不気味なクモの巣をつくります。
それも、部屋いっぱいに広がるほど巨大で、糸が幾重にも複雑に絡み合ったクモの巣です。

クモの話から、巨大な「クモの巣」づくりへ

まずは、先生のクモのお話から—いつものように身振り手振りを交えて、すっかりクモになりきった先生です。
最初のうちはその姿を見て「クモ、だいきらい」と怖がっていた子どもたちでしたが、そのうち笑い転げたり、先生のクモを真似したりと、いつのまにかクモの話に興味津々。そうこうするうちに、なんだかみんなの気持ちが、小さなクモの子どもになったようです。
では、これからクモの巣をつくりましょう。

「クモの巣を見たことあるかな?木や花などがいっぱいある公園や、お家の周りなどあちらこちらにあるよね」
「クモの巣、いっぱいあるよ」
「見るけど、気持ちワル~い」
「そうだね、でもクモは害虫を食べてくれるよ」
先生は子どもたちとこんな掛け合いをしながら、部屋の左側の壁に1本の長いスズランテープの端を、ちょうど子どもたちの背丈ほどの高さに貼り付けました。そして、そのテープを持って真っすぐに伸ばし、部屋の右側の壁へと向かってゆっくり歩き出しました。一直線に張ったテープが右側の壁に届くと、同じようにそこに貼り付けます。次にまた長い1本の紙テープを持ち、その端を今度は右側にあるガラス扉に、同じような高さに貼り付けました。そこからまたも同じように左側の入り口付近へと、さっきのテープと交差するように一直線にテープを伸ばしながら歩き、左側の入り口付近に届いたら、同じくしっかり貼り付けます。
2本のテープが部屋の真ん中で交差して、大きなバツ印をつくりました。
「先生、なにしてるの?」
そんな光景を不思議そうに眺める子どもたちの視線もまた、先生とテープの動きに合わせて右から左へ、左から右へとゆっくり交差して行きます。

これは、まだまだはじまりの、はじまりです。
先生はまたまた別のテープを持って、こちら側から向こう側へ、向こう側からこちら側へと、少しずつ位置と高さに変化を加えながら同じことを繰り返しました。子どもたちの視線も、やっぱり同じように左右を行ったり、来たり…。
そんなふうに何度か繰り返すと、いく本ものテープが一直線に部屋の空間を横切り、それがいくつも交差し合って、いつの間にか空間全体が網の目のようになりました。
それでも、クモの巣と呼ぶにはほど遠い状態です。
先生も、さてさて、これからどうしましょう、という困り顔で子どもたちに目線を移しました。
ところが子どもたちは先生と同じことをやりたくて、もうさっきからうずうずしていたのです。
もちろん先生はそれを察していました。
そう、実はここからが子どもたちの出番です。
いよいよ今回のテーマ「クモの巣」づくり、スタートです!

クモの目線で眺めれば、また違う体感も

テーブルにはあらかじめ用意した色とりどりのスズランテープや紙テープ、新聞を帯状に切り分けたもの、小さな鈴、ハサミ、そしてセロハンテープが並んでいます。
子どもたちは好きな素材を自由に選び、その端と端にセロテープを付け、先生が網の目状に張り巡らせたテープにそれを貼り付けていきます。先生と同じように、それを何度も何度も繰り返します。

目の前のテープから奥のテープへ、壁面やガラス扉から伸ばして別のテープへ、お友だちのテープから自分のテープへと、あちらこちらで交差していきます。長いテープも短いテープも、新聞の切れはしも、小さな鈴も、思い思いに貼り付けます。なかには、切れたテープを別の素材や色の違うテープで補修する子、同じところにテープをぐるぐる巻きにする子、床すれすれにテープをぶらぶらと垂らす子など、それぞれに貼り方も工夫しはじめました。無意識ですが、みんなが思いっきり〈アート〉を楽しんでいるのがわかります。

部屋の右側からも左側からも無数のテープが貼られ、そこから伸びていくさまざまなテープが部屋の空間でやはり無数に交差して、網の目がますます細かくなり、複雑な網の目模様をいくつも描いています。
子どもたちと先生、それに保育士たちみんなで部屋の隅の少し高い段から全体を見わたしました。
その瞬間、思わず歓声が上がりました。
そこに広がっていたのは、まさに、巨大なクモの巣そのものだったからです。

「じゃあ最後に、自分たちがつくったクモの巣の下をくぐってみようか」
そんな先生の掛け声に、子どもたちはわれ先にとばかりに急いでくぐろうとしましたが、
「でも、ただくぐるのではなく、クモになりきってみようか」
と先生から新たな提案が出されました。
すると、数人の子どもが腹ばいになったり、コロコロ回ったり、クネクネとからだをくねらせたり、思いついた体勢でいろいろ試してみました。どれもが虫のように見えてユニークでしたが、なかでも一番面白く、クモらしく見えたのはあお向けに寝そべって、手足をもぞもぞ動かしながら進んでいく体勢でした。
それにこうしてくぐると、自分たちがつくったクモの巣が真上に見えて、ほんとうにクモになったような感覚でこの不思議な空間を体感できることにも気づきました。
クモの巣をくぐりぬけていく子どもたち全員が、ほんとうにクモの子どものように見えてきました。
今回も、最後の最後まで楽しんだワークショップでした。

枠にとらわれない、「インスタレーション」という表現方法

今年度のワークショップは、一貫して通常の枠にとらわれない〈アート〉をテーマにしてきました。
今回のテーマに挙げた「インスタレーション( Installation )」も、まさにそれに則したものです。
「インスタレーション」とは、簡単に言えば、〈アート〉を展示する空間そのものをひとつの作品としてとらえる、ということです。
一般的に考えれば、壁にひとつひとつの作品が額などに収まって展示され、それを順番に眺めるのが美術鑑賞です。でも「インスタレーション」はそんな既成概念から離れ、展示会場そのものが〈アート〉になっているので、壁を見ても、床や天井を見ても、つまりその空間に存在する全てが鑑賞の対象となり、その空間に身を置くことで、全身で〈アート〉を体感するという鑑賞の仕方といってもいいでしょう。これは特に「現代美術」における表現方法として認知されてきました。
今回のワークショップは、まさにその表現方法です。
子どもたちには、このような難しい説明などはしません。でも、部屋の空間全体を使って、「クモの巣」というひとつの作品をつくり上げ、自分たちでそれを体感(鑑賞)することに大きな意義があります。
型にはめない、枠にとらわれない—これって、理解はしていても、私たちおとなの実生活ではなかなかできませんが、子どもたちにはいまのうちにたくさんのそれを体感させてあげたいと考えています。

ドキュメンテーション

ハロウィンの飾りで蜘蛛の巣は定番のようです。
秋になると蜘蛛が成長し、大型の女郎蜘蛛などが巣を作り始めるからか、
立派な蜘蛛の巣を見かけることが多くなります。

蜘蛛の巣は美しく、度々芸術の世界でも取り上げられることがあります。
蜘蛛の巣を部屋に張り巡らして遊びます。
異空間の面白さ、線と線のからむ面白さ、素材との探求様々を研究します
※一見、危なく見えますが、 何度も検証して何度もやっている内容です

written by OSAMU TAKAYANAGI