【にじいろWS 2021-5月】春の妖精になろう

2021年5月20日 木曜日投稿

いま「発想力」を育てるということ。

「発想力」とは、なにか新しいことを生み出す力です。それは、学校においても、職場においても、実社会で生きていく上で常に求められる重要な要素です。でも、それは決して特別な力ではありません。誰もが本来は持っているものです。特に、その能力は幼いころに芽を出します。それを大切に、ゆっくり、大きく育てることができれば、きっと、そのあとの人生に役立つスキルとして大いに活かされるでしょう。
今回は、そんな子どもたちの持つ「発想力」の芽を、遊びながら、楽しみながら、大きく育てていくためのワークショップです。

先生の〈おはなし〉から、あっという間に想像の世界へ。

子どもたちがテーブルにつくと、先生はこんな〈おはなし〉からはじめました。
「春になると、新しいいのちが生まれるよね。草や花の芽が出て、それから虫たちの小さなたまごからも・・・」。
先生は〈おはなし〉に合わせるように小さくうずくまり、たまごのような態勢から少しずつからだを伸ばしていき、最後はパッと大きな花が咲くように全身でいのちの誕生を表現しました。
子どもたちも先生の〈おはなし〉に合わせて小さくうずくまり、それから一気に立ち上がって、元気いっぱいにジャンプ!
その瞬間、子どもたちは先生の〈おはなし〉で誘った、想像の世界に入り込みました。
さてさて、ここからが今日のワークショップの、ほんとうのはじまりです。

たまごから飛び出した小さないのちは、どんな姿になるのかな?

子どもたちの前には、色とりどりの王冠のような輪があります。これは保育士が子どもたちの頭に合わせてたくさん作りました。
それから長方形に切られた大きなビニールとすずらんテープ(非粘着)、装飾用モールなどもあります。
どれもがブルー、ピンク、イエロー、グリーンなど鮮やかな色のものばかりです。
そうそう古新聞、ストロー、折り紙、輪ゴムなどなど、どこの家にあるよう素材もいっぱい用意しました。

子どもたちは、まず頭にかぶる王冠を選びます。
王冠も選んだ色や飾りつけによってさまざまに見えます。
次にからだにまとう素材を選びました。
大きな長方形のビニールを手に取ると、マントにする子、羽に見立てる子、その色によって透けて見える世界も変わります。もちろんビニールにもいろいろな飾りつけをしました。
おやおや、古新聞をぐるぐると身体中に巻きつけた子もいますね。
みんな独創的で、個性的ないでたちに大変身です。

古新聞を丸めて剣(つるぎ)にしている子が、ビニールのマントを背負って雄々しく戦士のようなポーズをとっています。
ビニールの羽をパタパタ広げながら、ちょうちょうのように飛びまわる子もいます。
ストローにモールやテープを巻きつけて、どうやら魔法のスティックができあがったようです。それをクルクル回して、「妖精」になったよ!と満面の笑みをうかべる子もいます。
そう、もうここには誰ひとりとして、ひとつとして、同じいでたちをした子どもはいません。おもしろいですね、誰もが同じ素材を使っているのに・・・。

実は、朝からあいにくの雨模様でしたが、この教室だけは太陽がさんさんと満ちた、新緑がまぶしい森の中にいるようです。
ワークショップの終わりは、みんな思い思いに教室から廊下へとうれしそうに羽ばたいていきました。

日常の生活から「発想力」を伸ばしましょう!

「発想力」は、子どもなら誰もが持っている資質です。そして、何気ない毎日の暮らしからそれは伸びていきます。なにも難しいことではありません。子どもが自発的にやりたいということに対して、おとなの固定観念や常識といった尺度でとらえず、まずは子どもの思いつくまま自由にやらせてみてください。例え思うようにいかずに失敗しても、なるべく手を貸すことやアドバイスはひかえてください。何度でも思うにまかせてチャレンジしていくなかで、子どもたちの「発想力」は鍛えあげられていきます。今日のワークショップのように、特別なモノや的確なテキストなどがなくても、子どもたちは持ちうる「発想力」を駆使して、十分に想像の世界で遊ぶことができるのですから。

ドキュメンテーション

春の妖精になろう

新しいエネルギーに満ち溢れ、柔らかい草木の芽や、虫たちも活動的です。そんな春のエネルギーを身にまとい、花や蝶、虫になって春の空気に飛び出します。カラービニールや新聞紙紙テープなどを自由に体につけて、春の虫や花に変身します。

written by OSAMU TAKAYANAGI