あふれだすアート
「意欲、忍耐力、協調性などのテストでは測れない能力は、乳幼児期にこそ築かれる」というノーベル賞受賞学者のヘックマンによる研究があります。子どもが自分の内面と向き合い、あますところなく自己を表現できる時間が「にじいろワークショップ」です。
右の作品は、前回のワークショップでホールで聴いた楽器の音を描いたものです。この日は、神明台公園で音探しです。見つけた音を正三角形の紙に墨で描いて、音を見つけた場所に置きます。友だちの紙とくっつけたらおもしろい形もできました。すべり台のてっぺんからアートスペースになった公園を見下ろせば、小さなアーティスト誕生です
ねらい
多様な美術的表現に触れ、体感することで、感性を豊かにしていく
様々な事象や表現方法を通して、物事を受け止め表現する幅を広げていく
毎回ひとつのテーマを持ちそれをふくらませていく中で、多くの素材や手法に触れていくなど、多様な表現を体感できることを目指しています。また、毎回のテーマに具体的なつながりを持たせることにより、「新しい体験」と「繰り返しの体験」を重ねながら子どもたちの経験値を拡大させていくことで、「豊かな感性」と「表現幅の拡大」につながっていけばと思っています。
ワークショップでは、①子どもが自らの手を動かし体験してみる→②そこで感じたこと=自分の感性(これが好き・面白い)を発見する→③伝えようとする(指さしや言葉にしていく)→④共感する(それ面白いね、やってみよう)の繰り返しができるよう考慮しています。そのため、全員でつくったものを見合う時間をつくり、好きなところ・発見したこと・面白かったところなどを発表しあっています。言葉にならず指さしで表したり、前に話した子と同じだったりと、初めはなかなか上手くいかないこともありますが、回を重ねるごとに途中での発想の広がりや子ども同士のやりとりが増えていきます。 体験を遡ることによる再発見、自分の中での感じ方の再確認、うまく言えないという葛藤などなど…そこで体験したことも表現の豊かさの土壌にかわっていきます。
ファシリテーター ~指導者ではなく支援者~
ファシリテーター紹介
否定されることが無い時間を子どもと共有しています。
月に1回、4歳児と5歳児のワークショップの時間を担当している山谷智子です。美大では彫刻を学び、現在は造形表現を専門にもつ保育士として勤務しています。
日頃から様々な決まりごとに合わせて生活することに慣れている子どもにとっては、最初は自由な表現の方が難しいかもしれません。でも、自分が試してみたいと思うことは、どんなことであっても否定されることが無い時間だとわかると、子どもたちはどんどん豊かな発想を展開し、私の想像をはるかに超えるようなアートの世界を作り上げていくようになります。
自分を否定されない時間を、子どもが自分自身を肯定的に受けとめ、考えることにつなげ、次の一歩を踏み出せるようになってもらいたいと願っています
山谷智子
武蔵野美術大学卒業(彫刻学科)
東京家政大学短期大学部卒業(保育科)
太陽の子保育園保育士として勤務
ファシリテーターの心得
- 子どもの発見や体験の経過を大切にし、短期的な成果にこだわらない。
- 形として完成させる事よりも「遊び」の一環として、子どもが充分に楽しみ表現していくことを大切にする。
- また、その経過を記録し周囲(園内・保護者)に向け発信することで、興味や理解を得ていけるようにする。
2016年度の活動内容
4月 あるいてみたらどんないろ? ~色の三原色あそび~
身体を使いながら色の三原色や混色による変化を感じ楽しもう!!
ワークショップの様子は「足跡でアート!?」をご覧下さい。
5月 いろのしずくがひっこししたら? ~色の三原色あそび パート2~
三原色の絵の具を使ったうつし取りを体験しながら、絵の具と素材の関係や混色による変化を感じ楽しみました。
ワークショップの様子は「垂らしてアート!!」をご覧下さい。
6月 ブクブクアワアワ、どんないろにしようかな? ~色の三原色遊び パート3~
泡の感触や質感を楽しみながら、色の混ざり方による濃淡、混色を体験しました!!
ワークショップの様子は「フワアワアート!?」をご覧下さい。
7月 まぜたらなにいろ?? ~アントシアニン色素を使った色遊び~
身近な食べ物や植物が持つ色に関心を持ち、絵の具だけではない色の変化を体験しながら楽しみました。
ワークショップの様子は「化学でアート!!」をご覧下さい。
8月 いろをうかべてみよう ~光を使ったいろあそび~
光の三原色の重なりや反射する素材に触れながら、光による様々な色の変化を体験し楽しみました。
ワークショップの様子は「浮かべてアート!!」をご覧下さい。
9月 “おと”ってどんないろ? どんなかたち? ~音と一緒に色遊び~
音を聴いて身体や色、かたちで表現してみることで、聴覚とつながった造形の楽しさを経験する。
ワークショップの様子は「音楽でアート!!」をご覧下さい。
10月 おとをみつけてかいてみよう ~音の発見で墨絵あそび~
公園で自分の好きな音を探して、その音を墨汁で表現してみました!!
ワークショップの様子は「神明台グラウンドでアート!!」をご覧下さい。
11月 はっぱのおとをスタンプしよう ~葉っぱでできる音をみつけて色あそび~
自然物に触れながら好きな音を発見して、三原色の絵の具で表現してみよう!!
ワークショップの様子は「水木公園でアート!?」をご覧下さい。
12月 みえないけれどかいてみよう! ~触って感じて表現あそび~
見えないものを触ってその感触を紙や色を選びながら表現してみよう!!
ワークショップの様子は「触覚でアート!?」をご覧下さい。
1月 このあじどんないろ? どんなかたち? ~食べて感じて描いてみよう~
いろいろな味のものをを食べて感じたことを描いてみよう!!
ワークショップの様子は「味覚でアート!?」をご覧下さい。
2015年度の活動内容
4月 三原色遊び
光の三原色を知り、重なりによる様々な映り方を発見して楽しもう!!
ペープサートをつくって三原色の投光器で映して遊びました。
5月 映って遊ぶ「虹色影絵」
今度は自分も映っちゃおう!!光や影って不思議でおもしろいね!!
ペープサートを身につけ、三原色の投光器の前で映って遊びました。
6月 ポタポタえのぐのしずく ~色の三原色遊び~
絵の具をたらしたら・・・!? 発色や混色を発見して楽しんでみよう!!
布をハンモック状に吊り、三原色の絵の具を一色ずつたらしてみました。
7月 ブクブク・アワアワのえのぐであそぼう! ~光の三原色遊び パート2~
シャボン液を混ぜた絵の具で遊びながら、質感、空気感や混色を感じ楽しんでみよう!!
テラスの柵に大判の紙をたらし、三原色の絵の具を一色ずつ泡状に吹き付けてみました。
8月 どんなもようができるかな? ~光の三原色遊び パート3~
フィンガーペイントと平版版画を体験!!混色や反転・質感の差を楽しんでみよう!!
7月に吹きつけをした紙から好きな部分を選んで切り取り、ろうそく版画に挑戦しました。
9月 どのいろえらぶ? ~色の組み合わせ遊び~
色の組み合わせを自由に選んでみよう!!そして、自分の「好き」を探してみよう!!
前回の版画を選んだ台紙に切り貼りし好きな色の紙も貼ってみました。さらに、大きな台紙に好きな色や場所を選んで貼ってみました。
10月 コネコネねんどでいろあそび ~素材と色の組み合わせ遊び~
粘土の素材感や色の三原色の組み合わせによる発色の違いを感じながら、好みの組み合わせを探してみよう!!
紙粘土に三原色を一色ずつ混ぜ、こね合わせて好きな色にしていきました。そして、散歩の時に拾った枝と毛糸でモビールを作ってみました。
11月 フワフワわたでいろあそび ~素材と色の組み合わせ遊び パート2~
色の三原色とその組み合わせ、わたの素材感や発色の違いを感じながら好きな組み合わせを見つけてみよう!!
綿に三原色の絵の具を一色ずつ混ぜ、それを混ぜたり、白の綿を混ぜたり・・・そして最後に好きな大きさに丸め透明カップに詰めてみると・・・!?
12月 「ふしぎめがね」でみてみよう! ~光×色の変化~
通常光と赤色光の色の見え方の違い、見えにくくなる色を発見してみよう!!
透明セロハンと赤色セロハンを貼った枠をつくり、クレヨンで絵を描いた「ふしぎめがね」をのぞいてみました。
1月 「ふしぎめがね」でみてみよう! ~光×色の変化 パート2~
光の三原色を通してみた時の色の見え方の違い、三原色の組み合わせでの変化を発見し楽しもう!!
今度はマジックで3つの枠に描いてみて、赤色・青色・緑色のセロハンを貼った「ふしぎめがね」をのぞいてみました。